てもりやてもりや

老後資金の準備、何から始めるか

公開日: 2026年3月18日

「老後2,000万円問題」の実態と自分に必要な金額

2019年に金融庁の報告書で注目された「老後2,000万円問題」。これは夫婦が老後30年間生活するのに公的年金だけでは約2,000万円が不足するという試算です。ただし、この金額はあくまで平均的な世帯の試算であり、実際に必要な金額は個人によって大きく異なります。

老後に必要な資金を計算する基本式は「(月の生活費 - 月の年金収入)× 12か月 × 老後の年数」です。例えば、月25万円の生活費で月20万円の年金が受け取れる場合、不足は月5万円。30年間なら1,800万円の準備が必要という計算になります。

公的年金はいくら受け取れるか

老後の収入の柱となる公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)の見込み額を把握することが、老後設計の第一歩です。

ねんきん定期便・ねんきんネットで確認する

毎年誕生月に日本年金機構から送られる「ねんきん定期便」で、これまでの年金加入実績と将来の見込み受取額が確認できます。35歳・45歳・59歳には特に詳しい情報が記載されます。また、「ねんきんネット」(年金機構のWebサービス)に登録すると、いつでもオンラインで試算できます。

会社員(厚生年金)の目安

平均的な収入(月30万円・40年間加入)の会社員の老齢厚生年金は年間約150〜200万円(月12.5〜16.7万円)です。老齢基礎年金(国民年金)と合わせると月約20〜23万円が目安となります。

フリーランス・自営業(国民年金のみ)の目安

40年間国民年金を満額納付した場合、老齢基礎年金は年間約81.6万円(月6.8万円)です。厚生年金がない分、自助努力による上乗せが不可欠です。iDeCoの上限がフリーランスは月6.8万円と大きいのは、この差を補うためです。

年代別の老後準備ロードマップ

20代:習慣づくりが最優先

老後まで30〜40年あるため、少額でも積立を始めることで複利効果を最大限に活かせます。月1〜2万円のNISA積立を習慣化するだけで、年利5%で30年後には830万〜1,660万円になります。まずiDeCoより先にNISAを始め、流動性を確保しましょう。

30代:収入増に合わせて積立額を増やす

住宅購入・子育てなどライフイベントが重なる時期ですが、老後準備を後回しにしないことが大切です。収入が増えたタイミングで積立額を増額し、iDeCoの活用も検討しましょう。この時期に節税しながら老後資金を積み立てられるかが将来の差になります。

40代:積立の最大化と資産評価

老後まで20〜25年。iDeCoの上限まで積み立てながら、NISAの成長投資枠も活用してポートフォリオを構築します。ねんきん定期便で年金見込み額を確認し、不足額を試算して目標を明確にしましょう。

50代:守りへのシフト

老後まで10〜15年。運用資産の一部を債券や安定した資産へシフトし、リスクを下げていきます。退職金の見込み額も把握し、老後の収支計画を精緻化します。繰下げ受給(年金を65歳以降に遅らせて増額する制度)も検討しましょう。

老後の生活費を減らす工夫

資産を増やすことだけでなく、支出を減らすことも老後準備の一部です。

  • 住宅ローンを老後前に完済する計画を立てる — 65歳時点でローン残高ゼロになるよう繰上返済を活用
  • 健康を維持して医療費を抑える — 定期検診・適度な運動・食生活の改善は老後の大きなコスト削減につながる
  • 固定費を見直しておく — 保険・通信費・サブスクリプションのスリム化は老後になってからでも有効
  • 住む場所・住居コストを最適化する — 子どもが独立したタイミングでのダウンサイジングや地方移住も選択肢の一つ

よくある質問

老後に必要な資金は本当に2,000万円ですか?
2019年の金融庁報告書の試算では約2,000万円とされていますが、これは平均的な夫婦世帯の参考値です。実際に必要な金額は「(月の生活費 − 月の年金収入)× 12か月 × 老後の年数」で計算します。年金受取額や生活費は個人によって大きく異なります。
自分の年金がいくらもらえるか確認する方法は?
毎年誕生月に送られる「ねんきん定期便」で確認できます。また、日本年金機構が提供する「ねんきんネット」に登録すると、最新の年金見込み額をいつでもオンラインで確認できます。35歳・45歳・59歳の誕生月には特に詳しい情報が記載されます。
老後資金の準備はいつから始めるのがベストですか?
早ければ早いほど有利です。20代から月1〜2万円のNISA積立を始めると、年利5%の想定で30年後に830万〜1,660万円になります。30代・40代から始めても遅くありませんが、積立額を増やす必要があります。「始められる今がベスト」という考え方が重要です。
iDeCoとNISA、老後準備にはどちらが向いていますか?
老後資金の積立にはiDeCoが向いています。掛金が全額所得控除になるため現役時の節税効果が高く、老後受取時にも税制優遇があります。ただし60歳まで引き出せないデメリットもあります。NISAは柔軟性が高いため、iDeCoを最大限活用した上で余裕資金をNISAに充てるのが理想的です。
年金の繰下げ受給とはどういう仕組みですか?
通常65歳から受け取れる年金を66歳以降に遅らせて受け取ることで、受取額が増える制度です。1か月繰り下げるごとに0.7%増額され、最大75歳まで繰り下げると84%増になります。長生きリスクへの備えとして有効な選択肢です。

参考・出典

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※ 計算結果は参考値です。個別の資産設計はファイナンシャルプランナーへのご相談をおすすめします。